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<title>ひよこの家</title>
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<description>創作錬金炉へようこそ</description>
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<title>貧乏籤　／山南薫</title>
<description> 　十一月の声を聞くと、そろそろ準備しなければならないことがある。「年末調整の用紙、今週末までに提出してください」　毎年のように叫ぶのが庶務課の仕事なのだ。今年は、城北と合併したので、庶務課員の数も増え、少しは楽になったかと思いきや。その他諸々、統括すべき人員も増えたことになるので――忙しさには、変わりなし。　総務系庶務は私ともう一人、佐々木さんが担当しているが、年末調整の用紙はどちらに提出してもよい
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<![CDATA[ <Font Face="MS UI Gothic"><br />　十一月の声を聞くと、そろそろ準備しなければならないことがある。<br />「年末調整の用紙、今週末までに提出してください」<br />　毎年のように叫ぶのが庶務課の仕事なのだ。今年は、城北と合併したので、庶務課員の数も増え、少しは楽になったかと思いきや。その他諸々、統括すべき人員も増えたことになるので――忙しさには、変わりなし。<br />　総務系庶務は私ともう一人、佐々木さんが担当しているが、年末調整の用紙はどちらに提出してもよいことになっている。なっているのだが。<br /><br />「<Ruby><Rb>山南</Rb><Rp>(</Rp><Rt>ナミ</Rt><Rp>)</Rp></Ruby>さん、これ」<br />「遅れた？　ごめんねー」<br />「判子、ここと、後どこ押すのー？」<br /><br />　最終日に傾れ込んでくるのは、なぜか私の許だ。なんということはない、皆、佐々木さんが怖いのだ。<br /><br />「遅い！」<br /><br />　の一言で切り捨てられると、そう思っているからだろう。私は見た目が穏やかそうだから、怒られないとでも思っているのか。――正解だよ、君たち。<br /><br />　そんななかで、残業時間中に庶務課を訪ねた男性一人。こそっと私に年末調整を差し出すのは、警備課の沖田さん。うちのお嬢と同じ名字の男性だ。トリオ・ザ・残業の一人にして、人当たりが良いので皆に重宝されて……いや、頼りにされている中堅どころだが、なんとなく様子がおかしい。彼は書類を私の机に置いてもなかなか戻ろうとせず、もじもじとその場にとどまっていた。<br />「なに？」<br />　私が尋ねるのを待っていたのだろう、問いかけに幾分安堵の表情を覗かせて。<br />「あのね。配偶者控除なくなったの」<br />　殊更小さな声で告げる。<br />　つまりは、奥さんが仕事を持ったということだ。<br />「パート？　だったら、給与によって控除のあるなしが決まってくるけれど？」<br />「いや……正社員だから……」<br />　完全に独立しているそうだ。それにしても、なんでこんなに言いにくそうにしているのだろう。まさか、残業して帰ったら、机に離婚届が置かれていたとか。そんな落ちではないだろう。だから、配偶者控除も必要ない、と。冗談で口にしたら、沖田さんの表情が固まった。<br /><br />「なんでわかるの？」<br /><br />　――って？<br />　というか、あれだけ毎日終電近くまで残業して、休みは休みでサークル活動に精出して、家に全く寄りつかないんじゃ奥さんに愛想つかされてもしょうがないと思うけど。<br />　まあ、彼の人の良さに付け込んで、組合の役員押しつけたり、支部の代表者にさせたり、納会の手配もまかせっきりだったりしたうちらも悪いけどね。けど、ね。<br /><br />　実際、離婚届は出されてはいないらしい――が、ほぼそれに近い状態とか。<br />　こういった、覗きたくもない他人の家の事情まで覗いてしまうのが、庶務の仕事なのだ。なんとなく、貧乏籤引いた、そんな気がする今日この頃。<br /><br /><br /></Font> ]]>
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<dc:subject>傍観者・山南薫</dc:subject>
<dc:date>2009-11-25T07:45:02+09:00</dc:date>
<dc:creator>上羽由馬</dc:creator>
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<title>雑談（７）</title>
<description> 　路線変更――というか。　『派遣・加宮操』と『傍観者・山南薫』をきっちり分けようと思いまして。現在作業中です。　加宮のほうは、純粋に派遣ネタ。　派遣というオシゴトに関するあれこれにして、山南のほうはOLネタメモで行く予定です。　両方入り組んでいると、ネタが混じって見苦しいのですよねー。　　なので、『なろう』に一時的に載せていた、加宮ネタも撤去する予定です。　あれがあるとややこしくなるからねー余計にねー
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<![CDATA[ <Font Face="MS UI Gothic"><br /><br />　路線変更――というか。<br />　『派遣・加宮操』と『傍観者・山南薫』をきっちり分けようと思いまして。現在作業中です。<br />　加宮のほうは、純粋に派遣ネタ。<br />　派遣というオシゴトに関するあれこれにして、山南のほうはOLネタメモで行く予定です。<br />　両方入り組んでいると、ネタが混じって見苦しいのですよねー。<br />　<br />　なので、『なろう』に一時的に載せていた、加宮ネタも撤去する予定です。<br />　あれがあるとややこしくなるからねー余計にねー。<br /><br />　そして。<br />　ひよこの家ホームページのほうでも、準備中と掲げている作品をちょこちょこと世に出していきたいです。こちらに掲載予定の『海市蜃楼』も、そろそろ開始したいですねえ――って、この原稿、実は人にあげてしまったので一から打ち直さないといけないのがまた骨です。ううう。<br />　似た感じで、伝奇もの。ガキの頃にぼんやり考えていた作品もそのうち。これ、舞台が川越で、直江津とかにも行ったりしますので、なんか今年発表すると<br />「時流に乗っちゃえ♪」<br />　みたいで嫌だなーということで、発表延び延びになっています。一話完結で、シリーズもの。いかにもー、な、伝奇です。見知らぬ男にいきなり命狙われるところからはじまったりする、昭和の王道！（笑<br />　あとは。どーしても死ぬまでに絶対書きたい話として、新大陸もの。黄金の七つの都市のお話です。あれ、どこかで聞いたタイトル？　ってのは、『太陽の子　エステバン』をご覧になられていた方か、もしくはまんまその原案にあたる『黄金　の　七つの都市』を読まれた方でしょう。<br />　ともあれ、書きたいです。大航海時代の冒険ドラマ♪　一番好きな時代なんですよねー。<br />　<br />　最近、マヤの暦が話題になっておりますが。そいつの研究も若干しておりました。<br />　でも、人間って滅びるの好きですねー。１９９９年が終わったら、２０１２年ですか。確かに、ツォルキンとハァブの組み合わせはそれで終わっていますが……。<br />　２０１２年を超えたら、また新たな滅亡への糸口を探して、探求の旅に出るのでしょうかねー。<br /><br /></Font> ]]>
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<dc:subject>◆裏話</dc:subject>
<dc:date>2009-11-24T07:41:09+09:00</dc:date>
<dc:creator>上羽由馬</dc:creator>
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<title>免罪符／山南薫</title>
<description> 　残業も毎日続くと、さすがに体力が消耗する。そういうとき、通勤時間は貴重な休息の場となるのだが。「あー、こっちこっちー」「遅いじゃないの、早くしないから席なくなっちゃったわよー」　明らかに物見遊山と分かるオバサン集団がやってくると、げんなりしてしまう。　姦しいうえに、厚かましい。物欲しげな目で着席している通勤客を物色して、「空くでしょ、すぐに」　ですと。　空くもんか。大抵は、終点まで行く人だよ。私
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<![CDATA[ <Font Face="MS UI Gothic"><br />　残業も毎日続くと、さすがに体力が消耗する。そういうとき、通勤時間は貴重な休息の場となるのだが。<br /><br />「あー、こっちこっちー」<br />「遅いじゃないの、早くしないから席なくなっちゃったわよー」<br /><br />　明らかに物見遊山と分かるオバサン集団がやってくると、げんなりしてしまう。<br />　姦しいうえに、厚かましい。物欲しげな目で着席している通勤客を物色して、<br />「空くでしょ、すぐに」<br />　ですと。<br />　空くもんか。大抵は、終点まで行く人だよ。私は練馬で降りるけどね。<br /><br />　若干お年を召した人たちは、歳をとっているおよび老人であることを免罪符に、席を譲らせようとする。そのあからさまな態度が、どうにもこうにも癇に障って、意地でもどくもんかと思ってしまうのだね。明らかに、遊びに行くんでしょ、遊びに行く体力があるのでしょ、それなのに、なぜ座ろうと思う？　通勤時間帯は特に、皆働いて疲れているのだよ。席をとるのに何台か電車を見送り、ホームで立ち尽くしていた結果、やっと獲得した座席を<br />「年寄りなんで～」<br />　と、横合いから奪い取る輩のなんと多いことか。遊びに行く元気があるのなら、それでも座りたいのなら、各停を利用するか特急を使うか。どちらかにしたまえ、と突っ込みたくなる。<br /><br />　しかもそうやって物欲しそうにやってくる人々に限って、実は元気、実はたいして年齢を経ていない、というのも現状なのだ。<br /><br />　あるとき、会社帰りに電車に揺られていると、目の前に品の良い老婦人が立った。幸い、それほど疲れてもおらず、体調も悪くなかったので<br />「どうぞ」<br />　席を譲ろうと立ちあがったのだが。<br />「いいのよ」<br />　婦人はかぶりを振った。あ、悪いことを言ってしまったかな、と、表情を曇らせた私に<br />「あなたはお仕事の帰りでしょう？　私はいいの、遊んできたから。だから、どうぞ座っていらして」<br />　やわらかな笑みが返された。<br /><br />　ああ、こういう人にこそ、譲りたい。譲るべきなのだ、と。強く思うのだ。<br /><br /></Font><br /><br />　――　Yさんの体験記脚色 ]]>
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<dc:subject>傍観者・山南薫</dc:subject>
<dc:date>2009-11-17T07:21:13+09:00</dc:date>
<dc:creator>上羽由馬</dc:creator>
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<title>卵サンドと握り飯／山南薫</title>
<description> 　朝。電車に乗り込んだ私は、驚いた。車内通路にピクニックシートが敷かれ、女子高生と思しき数人の若い女性が握り飯を食べている。　ここは、公園か？　一瞬固まった私の気配に気づいたのか、「ちょっと、あなたたちー」　間延びした声をあげながら、彼女らの保護者――担任なのだろう、中年の地味な女性がこちらに駆け寄ってきた。「こんなところでお店広げないの、ほら、片づけて」　どこかのアニメのキャラクターのような、すっ
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<![CDATA[ 　朝。電車に乗り込んだ私は、驚いた。車内通路にピクニックシートが敷かれ、女子高生と思しき数人の若い女性が握り飯を食べている。<br />　ここは、公園か？<br />　一瞬固まった私の気配に気づいたのか、<br />「ちょっと、あなたたちー」<br />　間延びした声をあげながら、彼女らの保護者――担任なのだろう、中年の地味な女性がこちらに駆け寄ってきた。<br />「こんなところでお店広げないの、ほら、片づけて」<br />　どこかのアニメのキャラクターのような、すっとぼけた口調だった。教諭としての威厳は、欠片もない。近所のおばさんの<br />「ちょっとアナタ、スカート捲れているわよ」<br />　的なノリの語りかけである。これを、注意とは呼ばない。昨今は、親も教師も子供を注意するということをせず。顔色を窺うようにして『語りかける』ことが多いように思える。電車で子供が騒いでも<br />「迷惑になるからやめなさい」<br />　ではなく。<br />「あのお姉ちゃんが睨んでいるからやめなさい」<br />「あのおじさんに怒られるからやめようね」<br />　そんな言い方をする。お前が悪いから、とは決して言わない。他人が怒るから、他人が不愉快だから、なんでも他人のせいか。自分は子供からみた『いいひと』でいたいわけね。<br />　だから、馬鹿にされるんだよ。子供は馬鹿じゃない、そういうところはきっちり見ている。そして、一度軽んじたが最後、言うことをきかなくなる。<br />　この女子高生たちも、例外ではなかった。<br /><br />「先生、これ、緊急事態」<br /><br />　ひとりがわけのわからんことを言い出した。何が緊急事態だ、電車で、公共の場所で飯を食うのが緊急事態なのか。朝食は家で食え。食えなかったから電車の中で、とか考えるほうがおかしい。一人が食べだすと、ほかの仲間も食べだす、そしてそれを見ていたアホな連中も真似する……悪循環ですな。<br />　とりあえずこのときの学生たちは、シートをたたんで引き払ったが。<br />　窓際に立った後も、まだ握り飯をかじっていた。――卑しいな。<br /><br />　TPOという言葉は知っていても、その意味を理解していないように思えるのだが……普通は教えずとも、それが品の無い行為だということを認識するはずなのだが。<br /><br />　ひと騒動が終わり、やれやれと席で眠りに就こうとした私の横で、眼鏡の地味な女性がサンドイッチをとりだした。もしや、こいつも……と、横目で見る私に構わず、彼女は卵サンドを両手で持って、リス宜しく前歯でちょこちょこと齧り始めた。ああ、こうやって卵サンドを食べる私は、小動物みたいでかわいいでしょ。とでも思っているのか。<br /><br />　おもわねーよ。<br />　というか、いい加減常識を持ちたまえっ。 ]]>
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<dc:subject>傍観者・山南薫</dc:subject>
<dc:date>2009-11-02T06:30:15+09:00</dc:date>
<dc:creator>上羽由馬</dc:creator>
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<title>化ける女／山南薫</title>
<description> 　通勤時間の環状線。そこは、キワモノパラダイス！　――と、でも言うのだろうか。　朝八時台の山手線、まさに立錐の余地もないその空間に、一人の女性が滑り込んできた。これ以上人間を受け入れることができない、まさにギリギリの状態の中で。彼女は徐にバッグを漁り。「……？」　とりいだしたるはカゲマン電池……ではなく、なんと化粧ポーチ。オイオイここで口紅なんか塗るんじゃないよ、と思ったのだが、甘かった。　初めに手にし
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<![CDATA[ 　通勤時間の環状線。そこは、キワモノパラダイス！　――と、でも言うのだろうか。<br /><br />　朝八時台の山手線、まさに立錐の余地もないその空間に、一人の女性が滑り込んできた。これ以上人間を受け入れることができない、まさにギリギリの状態の中で。彼女は徐にバッグを漁り。<br />「……？」<br />　とりいだしたるはカゲマン電池……ではなく、なんと化粧ポーチ。オイオイここで口紅なんか塗るんじゃないよ、と思ったのだが、甘かった。<br />　初めに手にしたのは、化粧水。器用に便から液体をこぼし、顔に叩きつける。<br />　しんと静まった――車輪の音しか聞こえぬ車内に、派手なビンタ音が響き渡る。乗客、皆、沈黙。<br />　同様に乳液、下地を顔に塗りつけた彼女が次に出したのは、なんとリキッドタイプファンデーション。そいつをパフを使って顔に塗りだした。揺れる車内、カーブに差し掛かるたびに、彼女の体はゆらりゆらり。横に立っているサラリーマンの、白いワイシャツにいつファンデーションがついてもおかしくはない。彼も嫌そうな顔で彼女を見つめているが、無言。<br />　私も無言で彼女を見つめていた。<br />　因縁つけられたら、<br />「いやー、あまりにも非常識なもので」<br />　と言ってやろうと思ったが、私の正面に立つ彼女、こちらの視線をモノともせずに、化粧を続ける。最後には仕上げとばかりにこれまた瓶に詰まった口紅を紅筆にとって塗り始めた。<br />　電車が揺れて、失敗すればいいのに鼻に入っちまえばいいのに。<br />　悪いことを考えるが、彼女はこれも難なく成功。つまらん……と思っていると、これがフィニッシュではなく、さらにとりだしたのはビューラー。鏡を見ながら睫毛を整え、マスカラを塗りたくり、挙句眉まで書きあげた。<br /><br />　その間、およそ五分足らず。<br />　高田馬場から新宿までのその短い間で、彼女は完全に化けていた。<br /><br />　化けるのはいいが、化粧は家でして来いよ。公共の場でやるなよ、と思う私であったが。<br />　昨今は、電車内で化粧をするオナゴが増えているような気がしないでもない。これって、人前でパンツ直しているのと同じ行為だということに気づかないのかなあ。<br />　よく、レストランで食事を終えた後に席で口紅をつける人もいるが。あれもマナー違反だ。<br />　化粧は人前でするものではない。断じて。 ]]>
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<dc:subject>傍観者・山南薫</dc:subject>
<dc:date>2009-10-31T07:21:58+09:00</dc:date>
<dc:creator>上羽由馬</dc:creator>
<dc:publisher>FC2-BLOG</dc:publisher>
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